手に入れたもの

　汗だくの夏のアルバイト土木作業

三ヶ月間、続けた甲斐があった　夢が叶った

憧れのオートバイが手に入った…

ほとんど　力ずくだよね　土木は、キツかった　

　彼女は、どんな顔をするだろう…？

思わず照れ笑い　ニヤけてしまう…

彼女の家の前　彼女の部屋　光がもれている

三回　アクセルを煽る…　ケータイを鳴らす

玄関から彼女が出て来た…

何…？お前　遂に買ったのかよ…？

彼女は、いつもの男言葉で言う　

来週、空いてる　予定は…？

今なら空いてる　オートバイに乗せてくれ

　待てないってこと…？

何か　気が変わって　彼女をおいて　フル加速

何かに　縛られる気がした

俺は、自由が欲しくて　オートバイを手にした

夢が叶った　側から壊したくはなかった

Ｒ１６を走り抜ける　黒い弾丸…

フォーストマルチのエキゾーストノート

闇への雄叫び　まるで　彼女に訴えかけている

ような　叫びのようでもあった

虚しくも彼女には、届かないだろう…

夏の日に手に入れたものと失ったもの…